lithiumflower出張所

リハビリなどなど

マグネット!とカクヨムの使い分け

いまのところは、

  • マグネット!
    • 三題噺企画に参加
  • カクヨム
    • ユーザ自主企画に参加
    • 童話もどきを投稿

という感じで使い分けています。
サイトで中途半端になってるシリーズものとか、うっかりノート(手書き)を完全処分してしまった長編の朧げな記憶からのサルベージとかもしたいんだけど、どこでするかは延々と悩んでます。
今使ってるウイルスソフトとサイトの相性が悪くて、サイト更新時の更新内容反映確認に手間取るので、たぶん今のウイルスソフト使ってる間は、基本的には投稿サイト系かここに投稿してく感じになるかと思われます。

旧ブログより移行しました

インポート/エクスポート形式の問題で、一括で記事を移行することができなかったため、本サイト未掲載のものだけ移してあります。
雑記ブログもはてなブログだし、まとめて管理できるようにしたのでもう少し更新頻度上げたいところ…。マグネット!とカクヨムに登録したので、そちらへの投稿お知らせがメインになるやもですが。
改めまして、どうぞよろしくお願いいたします。

ひこうき

あるひのこと、ひろしくんはひこうきになりました。
ぶーんとたかくとびあがり、だんだん、ひろしくんのおうちがちいさくなってゆきました。
そのうちに、ひろしくんのすむまちもちいさくなってゆきました。

たかくたかくとびあがるうちに、ひろしくんは、くもまにはいりました。
「くもさん、こんにちは」
「こんにちは、ひこうきさん。どこまでゆくの?」
「もっとたかいところまでゆくんだ」

そのうちに、ひろしくんはくもをつきぬけてゆきました。
ひろしくんのすむまちははるかとおく、もうみえません。

そのうちに、ひろしくんはちきゅうをとびだしてしまいました。
あたりはまっくら、ここはどこなのでしょう?
こころぼそくなったひろしくんは、おうちにかえりたくなってきました。

「こんにちは、ひこうきさん。こんなところにきたひこうきさんは、あなたがはじめてだわ」
はなしかけてくれたのは、おつきさまでした。

「おつきさま、こんにちは。ぼく、たかくとんでいたらここまできてしまったんだ。どうすればおうちにかえれるんだろう?」
「それなら、いまからわたしがいうとおり、とんでみて。きっとあなたがかえれるみちだから」
「ありがとう、おつきさま」

おつきさまのいうとおりにぐるりとゆるいこをえがいてとぶと、とおざかっていたちきゅうが、またちかづいてきました。
そのうちにもういちど、くもまにはいりました。

「おかえりなさい、ひこうきさん。たかいところまでいってきたのかい?」
「ただいま、くもさん。おつきさまにごあいさつしてきたよ」
「それはよかった!」

そのうちに、ぐんぐんと、ひろしくんのすむまちがちかづいてきました。
ひろしくんのおうちが、だんだんおおきくみえてきます。
ぶーんとおうちにとびおりると、ひろしくんは、ひこうきからいつものひろしくんにもどりました。

「ただいま、おうち。ただいま、おかあさん!」
きょうもおうちには、ひろしくんのだいすきなさつまいものにおいがしています。


おしまい

しばらくお試しで

Rory's story cubesを使ってお話を作って投稿したりなどしたいと思います。
というのも、アウトプット欲求はあるものの、一から十まで自分で考えて組み立てて…という体力(?)が完全に失われてしまっている今日この頃なので…。
元々voyagesは手元にあったのですが、アプリを購入→「動物 (animalia)」「魔法 (enchanted)」を追加購入したので、ファンタジー寄りな感じでやっていければと思います。
ひとまずは週一を目標に。

あと、これとは別に、「童話もどき」のカテゴリも立てました。
そちらはそれっぽいのを稀に投稿する、かも、程度な感じで。

Rory's Story Cubes

Rory's Story Cubes

  • Asmodee Digital
  • 教育
  • ¥240

年々歳々 2 (終)

編集中だった文書の上書き保存が完了したのを確認して、中嶌は大晦日に漬けた胡瓜をつまみつつ、焙じ茶を飲む。梶原を帰してからもなんのかんのと口実をつけて入り浸っていた岡田もさすがに大晦日には実家に帰ってしまい、部屋は静かだ。
実家はさほど遠くはないものの、卒論を抱えて帰る気にもなれず、結局今年は初めて一人で年を越した。カップ麺でもそばはそば、と年越しに選んだコロッケそばはなかなか癖になりそうで、今度からときどき買ってみようかと考え始めている。
提出後落ち着いてから帰るとだけ伝えた実家には、電話で年始の挨拶を済ませた。初詣は自転車で十数分走った先の小さな社へ。初めて自分で一から出汁をひいて作った雑煮は、意外とうまくできた。大晦日に漬けた胡瓜もいつも通りに美味しい。
それにしても、といつもよりも余裕のある炬燵に足を入れたまま横になり、思う。いつも通りのようで、一人きりで過ごした日はさほど多くはなかったことに気づかされてしまい、つまるところたぶん、寂しいのだ。
(おっかしいなー……一人暮らしをしてたはずなんだけどな……)
ごろりと寝返りをうって、目を閉じる。
うとうとと微睡む耳に、遠く呼び鈴の音が聞こえた。

        • -

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年々歳々 1

そろりと扉を開けて、小声で声をかける。
「ただいまー」
返事はない。当たり前だろう。今は深夜とも明け方ともつかない午前三時。よほどでなければこんな時間帯に起きている家族はいない。というか、自分もそこまで遅い時間まで起きている予定はなかったのだ。
(それもこれもいちろー先輩のせいだよな……)
思い出すのは、日々テンション高く自分やもう一人の先輩を振り回す先輩の姿。これだけ振り回されても憎む気になれないのは、彼の人徳なのかもしれない。いつもの笑みというよりも、集中したときの真剣な姿に毒気を抜かれてしまうのだ。
しかし、それはそれとして、こんな時間の帰宅に至ったことには恨み言の一つも言いたくなる。今日は朝から実家の年越しの支度の手伝いがあるからと、前々から母と姉に言い聞かされていた身としては寝坊もできそうにない。
(てことは、今日は布団に入ったらたぶんアウトだ……)
なるべく規則正しい生活を心がけて体内時計をセットしてはいるが、恐らく今日ばかりはどうしようもないだろう。
頭を抱えつつ、スマホの明かりを頼りに部屋に戻る。勝手知ったる我が家、階段もあるが、スマホ画面の頼りない明かりでもさほど困らない。

形ばかりの仮眠をとっていつも通りの時間に居間に降りれば、母と姉しかいなかった。
「はよ。父さんは?」
「お父さんは昨日忘年会で飲みすぎたみたいで、二日酔い。今日は使い物にならないわね」
からからと笑う母から湯気の立った椀を渡される。今日の朝食は和食らしい。お味噌汁の他に、ほっくりと焼き上げられたほっけと、ほうれん草のおひたし。それに梅干し入りのご飯。
豪華だ、と思ったが、年末年始に向けて買ったあれこれを詰めるための冷蔵庫掃除も兼ねているのだろう。年越しの支度を手伝うようになって数年、そのあたりの機微がわかるようになってきたのはよかったのか悪かったのか。
そんなこちらの心中はさておきとばかり、向かいの姉がこちらに箸を向ける。行儀が悪いと母から小言が飛んだ。
「あんたこそ昨日は帰り遅かったみたいだけど、何時に帰ってきたの?」
「三時」
「ちょっとー、そんな寝てません状態なこと言われたら、力仕事頼みづらくなるじゃない」
もう、と唇を尖らせた姉の隣、腰掛けた母が首を傾げる。
「いつもの先輩のところ?」
「そーそー。卒論が年明けすぐ提出だから、今年の年末年始は帰省しないらしくて」
「あら。それならきよ、お節届けてらっしゃい。余分に作るようにするから」
「え」
うん、それがいいわよ。にこやかに笑う母に、きよ、こと梶原潔は内心途方にくれた。

        • -

# 年末年始ネタで少し書きます。
# 年年歳歳花相似 歳歳年年人不同 - 劉希夷「代悲白頭翁」より